今月のエッセイ(2023/9)
Author: セプティマ・レイ
9月です。8月31日に台湾から帰国しました。さて、8月のエッセイでお知らせしたとおり、8月11日に『日本娛樂產業與法律—兼論臺灣娛樂法』という本が台湾で発売されました。出版記念イベントとして、この日に講演会とサイン会を行いました。私の『よくわかる音楽著作権ビジネス』は累計で10万冊以上売れていますが、今までサイン会なんてやったことないです(決してやりたいという意味ではないです)。無名の日本人学者のサイン会なんて誰も来ないだろうと思っていたら、50名くらい集まってくれました。私の台湾大学の教え子も7名くらい来てくれました。
この日のイベントに間に合わせるように本を出版したので、本ができたのは何と前日の8月10日でした。日本では企画段階で発売日を設定しますが、こちらでは発売日の設定はかなり緩いようです。最初は私が帰国する8月31日までに出版するという話だったのですが、諸般の事情で8月11日に出版記念イベントが予定されたので、この日までに出版することが編集者への至上命令になってしまいました。おかげで校正はなんと1回のみという、なかなか日本では味わえないスリリングな体験をしました。
8月21日から26日まで、駆け込みで九份、十份、台中、高雄に行きました。毎日35度くらいあったので、「冬に行くべきだった」と後悔し切りでした。九份は今年の1月に行ったのですが、残念ながら雨が降っていて、あまり楽しめませんでした。雨のため、十份でのランタン上げ(天燈上げ)も断念しました。今回は快晴だったので、十份でランタン上げを敢行しました。願い事を書いたランタンを空に飛ばすと、願いが叶うらしいので、ランタンに「夢の印税生活!」と書いて飛ばしました。
最後に台湾生活の感想を一言。台湾は治安が良く、日本人に親切なので、本当に住みやすく、すこぶる快適な生活を送ることができました。正直、これほど親日派が多いとは思いませんでした。私が台湾の知人に東日本大震災の時に多額の義援金(250億円!)を送ってくれたことに感謝の意を示すと、「いえいえ、2009年の台風で台湾の中部と南部が甚大な被害を被った際に、日本から大きな支援を受けました。当然のことをしたまでです」と言われました。日本人と台湾人は心の底で通じ合っていると実感した瞬間でした。本当の友好国とは、日本と台湾のことを言うのでしょう。今回、台湾の友人もたくさんできました。これからも台湾の人たちとは、できるだけ心のこもった交流を続けたいと思います。