今月のエッセイ(2023/6)
Author: セプティマ・レイ
6月です。6月2日の授業をもって、台湾大学でのすべての講義が終了しました。秋学期14回、春学期15回と全部で29回の講義を行いました。最後の授業の後に、学生たちが送別会&誕生日会を開いてくれました。うれしいことに寄せ書きと誕生日ケーキ(誕生日は7月ですが)、そして花束をもらいました。週1回の授業でここまでの心遣いを受けるとは、本当に感無量です。心ばかりのお礼に、8月に台湾で出版される私のエンタメ・ビジネスの本を履修生すべてに謹呈することにしました。本を見て、私の授業を思い出してくれるとうれしいです。
サバティカルを利用して在外研究のために外国に行く教員は、客員研究員として、受け入れ大学が開講する授業を2~3つ聴講するというのが定番です。私がアメリカに留学していた時も、外国から10名くらい客員研究員が来ていました。しかし、ほとんどは遊びに来ているので、授業もさぼりがちですし、そもそも予習なんかしてきません。教授も遊びに来ているお客さんとして扱うので、基本的に無視しています。もちろん、中には真面目に勉強する客員研究員もいると思いますが・・・。なので、学者が偉そうに教歴に「○○大学客員研究員」と書いているのを見ると、ついつい「あ~、ここで遊んでいたのね」と思ってしまいます。
なので、台湾大学の客員教授として正規の授業を持ったことは、本当にいい経験になりました。50分(授業)+10分(休憩)+50分(授業)という変則的な授業時間も、予め講義内容を前半・後半に分けることでうまくいくようになりました。前半はビジネスモデル、後半は法律・契約と分けたため、授業にかなりメリハリが出るようになりました。また、10分休憩すると、かなりリフレッシュするので、学生も後半の授業に集中できることがわかりました。毎回150枚くらいのスライドを用意しましたが、スライドに動画のリンクを埋め込んで、授業に関係するYouTube動画を2~3分見せることで、よりリアルな授業になりました。
このように実は、教員である私の方が学ぶことが多かった9か月でした。あと1か月で還暦ですが、まだまだ勉強しなければならないことがたくさんあります。台湾の滞在期間はあと3か月になってしまいましたが、これだけあれば、かなりの論文を書くことができます。もうすぐ音楽教室事件最高裁の判例評釈を英語と中国語で発表しますし、エンタメ・ビジネスの本も日本語にして、来年くらいに出版したいと思っています。英語版も海外の出版社に持ち込む予定です。同級生たちが今年で定年を迎えると思うと、大学教員は本当に恵まれていると思います(東洋大学の定年は65歳です)。台湾大学の学生はエンタメ・ビジネスにとても興味をもっていることを痛感したので、帰国後はエンタメ・ビジネスに関する講座をできるだけ多く開講しようと思う今日この頃です。