今月のエッセイ(2023/3)
Author: セプティマ・レイ
3月です。台湾大学の春学期が2月20日から始まりました。先月のエッセイでお伝えしたとおり、私はエンターテインメント・ビジネスを毎週金曜日に教えています。そのための教科書を英語で執筆しました。全15章、全124頁です。台湾の知財専門の弁護士の先生に「本になったらうれしいです」と話したら「私が中国語に翻訳して、出版したい」というありがたいお話をいただきました。ということで、まず台湾で出版されることになりました。英語で執筆するとこういうことがあるんだと、かなり驚きました。私は昔から英文法が大好きで、英文を書くのはまったく苦ではないので、これからは英文で論文を数多く発表しようかなと思案しています。
ちなみに「Patent & Licensing」という英文雑誌の12月号に「Current Situation and Issues of the Anime Business in Japan」というタイトルでアニメ・ビジネスに関する英文論文を掲載しました。3月号にも「Current Situation and Issues of the Concert Business in Japan」というタイトルでコンサート・ビジネスに関する英文論文を掲載します。ということで、最近はずっと英語で論文を書いています。ところで、英文の論文を書いていて気付いたことがあります。それは英文をずっと書いていると、語彙や表現、言い回しの知識が増えるので、自然とスピーキング力が付くことです。書いたことは話せる。当たり前のことですが、今更ながら授業で英語を話しながら実感しています。
2月24日が今学期の最初の授業でしたが、36人の教室が満席になりました。20人の履修者枠に申し込みが殺到して、教室が溢れてしまったのです。台湾大学は少人数制の授業が基本なので、予想外の事態になっています。急きょ78人の教室を確保しましたが、3月1日の時点ですでに46名が登録しています。こちらでもエンタメ・ビジネスの授業はかなり珍しく、さらに日本のエンタメを英語で学べるとあって、西洋人も数人参加しています。また、日本からの交換留学生も一人参加していました。国立政治大学でも日本人留学生が一人、私の授業に参加していましたが、海外で頑張っている日本人留学生を見ると、心から応援したくなります。
ところで台湾では2月28日は和平記念日です。1947年に起こった二・二八事件(国民党による市民の虐殺のきっかけとなった事件)を忘れず、平和を祈る日として祝日になっています。今年は火曜日なので、前週の土曜日から火曜日まで4連休とする会社やお店が多いようです。私は知人の弁護士の先生から1989年公開の映画「非情城市」のチケットを頂いたので、近くの映画館に見に行きました。この映画はファンハウスが音楽制作を担当したようで、日本と協力して製作された映画のようでした。1月に訪れた九份を舞台にした映画ですが、なかなか重いテーマで蒋介石に対する評価が分かれている理由の一端がわかります。私はもともと昭和史を専門とする社会科教員でしたが、まだまだ不勉強であることを痛感しました。もっと勉強して、その国々の人々に寄り添う気持ちを持ちたいと思います。