今月のエッセイ(2022/8)
Author: セプティマ・レイ
8月です。ようやく春学期が終わりました。2年ぶりの対面授業でしたが、滞りなく終えることができました。しかし、コロナ禍で学生の授業に対する態度は大きく変わりました。コロナ禍前の対面授業での出席率は7割くらいでした。コロナ禍でのオンライン授業の出席率は6割くらい、そして、今学期の対面授業の出席率はなんと3割以下でした。私の授業の質が急に落ちたわけではないと思うので、これは明らかに学生の授業に対する態度の変化によるものだと思います。まあ、一言でいえば、多くの学生にとって大学に行くのが面倒臭くなったのです。
東洋大学の法学部では、今年度から2年次の秋学期からゼミを受講できるようになりましたが、応募者は予想よりも大幅に少ないそうです。これもおそらく面倒臭いという理由が大きいでしょう。また、コロナ禍のために中国に帰国した留学生の多くは、まだ日本に戻ってきていません。そのためにオンラインで授業と期末試験を実施しましたが、これも戻ってくるのが面倒臭いというのが主な理由でしょう。その結果、どうなったかというと、学生の学力が大幅に落ちました。これは期末試験の結果に表れました。たとえば、昨年度の知的財産法Bの期末試験の平均点は73.9点でしたが、今年度は66.9点と7点も下がりました。
一方、真面目に授業に出席して、優れた成績を取得する学生もいます。まあ、すでに存在していた二極化がさらに進んだと言えそうです。8月5日が最後に出校日だったのですが、期末試験の監督を終えると、教室の外で学生が数名待っていました。なんと、これまでの授業のお礼と私の帰りを待っているという、うれしい言葉をもらいました。まさに教師冥利に尽きるとはこのことです。これだから教師はやめられません。思わず涙がこぼれそうになりましたが、再会を約束して別れました。私も彼らの期待に応えるべく、台湾でさらにステップアップしたいと思います。
私も来年でいよいよ還暦です。還暦は台湾で迎えることになります。台湾では還暦に赤いちゃんちゃんこを贈るというような習慣はないそうです。80歳は「大寿」、100歳は「百歳人瑞」といって、盛大にパーティを開いてお祝いをするようです。年齢的にも体力的にも新しい言語を習得するのは、最後のチャンスだと思っています。アメリカの下院議長であるナンシー・ペロシの訪台で不穏な空気が漂っていますが、充実した研究・教授生活を送ろうと思っています。人生はたった一度、自分の目で耳で、新しいことを学んできます。この機会を利用して、海外から日本を俯瞰してみます。きっと新しい発見がそこにあると思うのです。