今月のエッセイ(2021/06)
Author: セプティマ・レイ
6月になりました。先月のエッセイで私が使っているパソコンがかなり古いことをお話しましたが、その後、ついにバックスペースキーが壊れました。考えてみれば、バックスペースキーはかなり酷使しているので、最初に壊れるのも納得です。ちょうど大学から8日に新しいパソコンが納品されるという連絡があったので、ぎりぎり間に合いそうです。今はバックスペースキーの代わりにデリートキーで文字を削除していますが、結構使いづらいです。失って初めてわかることってありますよね。バックスペースキーがこんなにも貴重なKEYだとは思いませんでした。
緊急事態宣言の延長に伴い、東洋大学法学部では教員が希望する場合、専門ゼミだけは対面で授業ができるようになりました。私のゼミでは30名近くの学生が履修していますが、3密を避けるために200名収容の大教室で授業を行っています。しかし、非対面で授業を行っているゼミが圧倒的に多く、大学は夏休みのように人影もまばらです。おそらくゼミ生の希望に応えた結果なのでしょう。確かにオンライン授業にはメリットもありますが、デメリットもかなりあります。授業がどんどんYouTube化しているようで、学校教育の意義が問われているような気がします。
教員の中には私語がないので、オンライン授業の方がやりやすいという人もいます。確かにオンライン授業は私語が聞こえないので、教員は授業に集中できます。しかし、受講生が画面の向こう側で一生懸命授業を聞いているかといえば、大きな疑問符がつくでしょう。おそらくかなりの学生が内職をしているはずです。YouTubeを見ている学生もいれば、メールやLINEに夢中な学生もいるでしょう。私がアメリカのロースクールに留学している時に、学生全員がパソコンを教室に持ち込んで授業を受けていました。ふと前の席の学生の画面を見ると、たいていはメールを打っていたり、Googleニュースを見ていました。パソコンや携帯は内職を誘発するのです。オンライン授業の促進により、教員の自己満足で終わる授業がかなり増えるでしょう。
7月11日に知財検定の試験が実施されます。東洋大学法学部では、知財検定対策講座を開講しているのですが、そろそろ追い込みに入ります。試験日まで1か月を切ったくらいの時期に私が作成した暗記用のメモ帳(A4で8枚くらい)を受講生に配布します。これを「3級試験用アンチョコ」を呼んでいるのですが、アンチョコという言葉は死語のようで、学生にはまったく通じません。「アンチョコ」の語源は「安直」のようで、教科書を予習するのに、いちいち調べたり考えたりせずにすむように作られた手軽な参考書のことをいうようです。教員が「アンチョコ」を作成するなんてナンセンスですが、これも試験に合格してもらうためです。そもそも昔はアンチョコを作成した時点で覚えた気になって、全然役に立ちませんでした。せめて学生には、私の作ったアンチョコで安直に出題ポイントを覚えてもらいたいものです。