今月のエッセイ(2021/02)
Author: セプティマ・レイ
2月になりました。緊急事態宣言が発令されましたが、なかなかコロナ感染が収まりません。エンタメ業界も瀕死の状態です。毎日国会中継を見ていますが、共産党の小池晃書記局長の核心を突く質問に対する萩生田文部大臣のつれない答弁を見ると、日本政府は文化を軽視しているんだなーと痛感します。ライブハウスが次々に閉鎖され、アーティストの活動の場が奪われていく姿を見ると、元に戻るには相当な時間がかかると感じます。アーティストのマネージメントをやっていた頃は、ライブハウスの箱代が高いな~と思っていたのですが、もともと家賃が高かったことを今更ながらに知りました。確かに都心の一等地の物件ですから、家賃が高いのは当然です。
1月16日と17日は、東洋大学の板倉キャンパスで共通テストの監督を務めました。ただ、本部付きといって、不測の事態の時だけに出番がある監督です。急に気持ち悪くなったり、咳が激しくて周りの迷惑になるような受験生は別室で受験させるのですが、その時に登場する監督要員なのです。昨年は具合が悪くなった受験生がいたので出番がありましたが、今年は不測の事態は起こらず、出番がありませんでした。まあ、出番がないのはいいことなのですが、どうも働いた気がしないため、少々居心地の悪い2日間でした。この時期の板倉(群馬県)はとても寒く、さらにコロナ対策で頻繁に換気をしなければなりません。受験生も寒くて大変だったと思います。
ところで、40代の受験生がマスクを鼻までかけなかったために、大騒ぎになったというニュースがありました。試験監督を責める意見がネット上で散見されましたが、現場のルールを知らない人たちです。共通テストには厳格なマニュアルがあって、試験監督が現場で自由に対応することはできないのです。恣意的に対応できるとなると、取扱いに不平等が生じる可能性があるからです。そのため、受験生への指示も一言一句、マニュアルに書いてあります。そういうことを知らないで「もっと柔軟に対応すべき」とか「最後まで受験させて、後で事情を訊くべき」などと、試験監督を責めるのはお門違いも甚だしいと思います。他人を批判するなら、もっときちんと実態を調べるべきです。
2018年12月30日に著作権保護期間が著作者の死後50年から70年に延長されたため、『よくわかる音楽著作権ビジネス』の内容を大幅に改訂する必要が生じました。2018年2月に第5版が出版されたばかりですが、この3年間にさまざまな出来事がありました。とりわけ、コロナ渦のためにライブ配信が急増し、その権利処理について多くの関係者が戸惑っています。そこで急きょ、今春に第6版を出版することになりました。おそらくゴールデンウイーク明けくらいだと思います。今回の改訂は基礎編のみです。ただし、同時にこのサイトにアップしている契約書をリニューアルします。特に音楽配信の規定を充実させる予定です。ぜひ改訂版と契約書を活用して、コロナ渦による苦境を乗り越えてください。