今月のエッセイ(2020/12)
Author: セプティマ・レイ
12月です。大学は入試シーズンに突入しました。10月、11月、12月と東洋大学では3か月連続で推薦入試が行われます。11月は学校推薦プレゼンテーション型試験を行いました。これはAO入試と似ているのですが、学校推薦を受けた生徒のみを対象にしているという違いがあります。受験生は10分間のプレゼンテーションを行った後に、10分間にわたって、面接を担当する教員から質問を受けます。こちらまで受験生の緊張感が伝わってきて、適正かつ公平な採点をすべく、質問にもおのずと力が入ります。
受験生のプレゼンテーションの内容がほかの受験生と重複しないような課題を設定するのが大変です。今年の課題は「まだ海外では成功していないが、今後、世界市場で成功する可能性がある日本のビジネスを1つ挙げて、その理由を説明してください」というものでした。7名を面接しましたが、受験生が取り上げたビジネスはすべて異なっていたので、ホッとしました。面接官も感服するプレゼンテーションもあって、面白かったです。みなさんならどういうビジネスを取り上げるでしょうか。なかなかの難問ですよね。
推薦入試では、コロナ感染対策のために、窓やドアを開けっぱなしにして、面接を行います。11月の面接では寒気が窓から入ってきて、大変でした。受験生も入室後すぐに消毒液で手を洗わなければなりません。また、ドアが開いているので、同僚の面接官と話し合う場合、かなり小さな声で行わなければいけません。お互い飛沫を飛ばさないようにと、一定の距離を保ちつつ、小声で話をするという難行・苦行を強いられています。コロナ感染対策はほんとにストレスが溜まります。
コロナ感染拡大のせいで、推薦入学を目指す学生が増えています。いわゆる安全志向ですね。確かに推薦入試は早く進学する大学を決めることができるし、学校推薦を受ける場合は、日頃の生活態度やクラブ・委員会・ボランティア活動、学業成績が重視されるので、真面目な生徒には有利です。それに学校推薦組は入学後も真面目に勉強するので、指導がしやすいです。一方で、一般受験組は爆発力・集中力があり、そこが魅力です。また、一般受験組は英語ができるという傾向があります。このように甲乙つけ難しなので、大学としてはバランスよく受け入れることが大事です。
1月は初めての共通テスト、2月と3月は一般入試と、入試スケジュールが詰まっています。コロナ感染者が爆発的に増加しているという厳しい状況の中で、受験生は大変です。特に感染者数が少ない地方から東京や大阪のような大都市に来て受験する生徒は、いろいろ苦労されると思います。大学としては、受験生が実力を十分に発揮できる環境を整えてあげることしかできません。これからインフルエンザの季節も始まります。とにかく受験生にはこれまでの努力が報われるように、全力を尽くして志望校に合格することを心から祈っています。