今月のエッセイ(2020/08)
Author: セプティマ・レイ
8月です。やっと春学期が終わりました。結局、一度も対面授業ができずに終わってしまいました。私に非があるわけではないのですが、履修生には本当に申し訳なく思っています。その代わり、例年よりもかなり入念に準備をして、ライブ配信の授業を行いました。期末試験は大学のシステムを利用して、開始時刻と終了時刻を設定してオンラインで行いました。カンニングは防げないので、問題数を50問から60問に増やしました。採点した結果、平均点は70点と74点だったので、ある程度、カンニングは防げたようです。本当に苦労が絶えない春学期でした。
音楽業界もライブが開催できなくて大変です。その代わりにライブ配信が流行り始めています。サザンオールスターズが6月25日に横浜アリーナで無観客配信ライブを開催して、大成功を収めたことが大きく影響しています。その後、大物アーティストが次々にライブ配信を行っています。7月30日には、山下達郎さんが過去のライブ映像を配信しました。私もチケットを購入して視聴しましたが、かなり楽しめました。部屋を真っ暗にして、会場の雰囲気を出しました。
ライブ配信の終盤に、1986年の中野サンプラザで「プラスティック・ラブ」を歌った時の映像が流れました。このコンサートを見に行っていたので、時間がフィードバックしました。確か大学4年生で、大学の授業にはほとんど出ずに、達郎さんのコピーバンドをやっていた頃です。20歳から欠かさず達郎さんのライブを見に行っているので、ファン歴は37年になります。今年はライブをやらないと言っていたので、ライブ配信で達郎さんの演奏が楽しめたのは儲けものでした。自宅のパソコンからでは会場の雰囲気はなかなか伝わりませんが、映像もきれいだし、音も良かったです。
アーティストがコロナウイルスのせいで、なかなかライブ活動ができず、経済的に苦しんでいる中、レコード会社の中には、ライブ配信の売上の一部をよこせと事務所に要求している会社があります。まったく信じられません。その根拠は、事務所と交わしている専属実演家契約にあります。ほとんどの専属実演家契約には、アーティストは契約先のレコード会社以外のために、レコードやビデオの収録を目的とする歌唱・実演を提供してはいけないとあります。そして、ネットワーク時代を迎えて、20年くらい前からこの収録目的にインターネット配信を含めているのです。これはそもそもダウンロード配信を想定して入れられたものです。
しかし、レコード会社は事務所に対して、「専属実演家契約上、レコード会社に無断でライブ配信はできない。やりたければ、ライブ配信の収益の一部を払いなさい」と言ってくるのです。驚くことに某レコード会社は「利益の半分をよこせ」と言ってきたそうです。もちろん、このレコード会社は何も手伝っていません。せめて、ライブ配信の費用の一部を負担したり、プロモーションを手伝うなら少しは理解できますが、ただ「金をよこせ」と言ってくるのです。もう日本のレコード会社は終わっています。どことは言えませんが、その事務所はレコード会社との契約を終了するそうです。理由は「バカらしくてやってらんない」です。ほんとにその通りです。苦しい時にはお互い助け合うのが筋でしょう。レコード会社には猛省を促したいと思います。