今月のエッセイ(2020/03)
Author: セプティマ・レイ
3月です。2月下旬に沖縄旅行を計画していましたが、新型コロナウイルスが流行しているので、自宅で過ごすことにしました。スポーツやイベントも軒並み中止となって、経済や社会に大きな影響が出始めています。卒業式や入学式を取りやめる大学も出てきました。政府は3月2日から春休みが終わるまで小・中・高校を休みにするように要請しました。それを受けて、東洋大学でも卒業式は中止となり、ほとんどの会議もインターネットを使って書面で行うことになりました。受験シーズンの真っ最中りなので、受験生も大変です。そういう意味では、最悪の時期にコロナウイルスが蔓延し始めているといえます。
受験といえば、MARCHと日東駒専の志願者が減少しているというニュースがさかんに報じられています。確かに東洋大学の志願者数は前年比で約80%と大幅に減少し、最終的には10万人になりそうです。昨年度の入試で倍率や偏差値が上がったため、偏差値50点付近の学生から敬遠されたのでしょう。このあたりの学生がボリューム・ゾーンなので、受け控えされると一気に志願者数は激減します。実は受け控えによって倍率や偏差値が下がるので、受験校として狙い目なのですが、どうも学生は前年度の倍率や偏差値しか見ないようです。ほんとは2年前の倍率や偏差値を見るべきなのですが、高校や予備校ではそのような受験指導が行き届いていないのでしょうか。
中堅校に限らず、法学部を含めた文系の学部の志願者数が軒並み減少しているようです。私は高校生の時から日本史の教師になりたかったので、迷わず教育学部と文学部史学科を受験しましたが、将来希望する職業が決まっていない学生にとって、学部選びは困難を極めるでしょう。今はインターネットでさまざまな情報を入手できるので、納得いくまで調べることができます。安易な気持ちで学部を選択すると、入学後の4年間が苦痛になります。興味が続かないと勉強する意欲が湧かないので、成績が下がります。最悪の場合、除籍や退学につながります。一方、興味があれば、少々勉強が難しくても授業についていけます。なので、あまり大学のランクにこだわらず、興味を持てる学部に入学するのが賢明です。統計上、男子学生は大学のランクで受験校を選ぶ傾向にあるようですが、将来の希望職種との関連性や大学のカリキュラムを参考にして、自分の進みたい道を踏まえて、自分に合った学部を選んでほしいと思います。
ところで2月28日に音楽教室事件の判決が出ました。大方の予想通り、JASRACの勝訴となりました。私はマスコミ用に配布された判決の要旨しか読んでいませんが、JASRACの全面勝訴です。「そこまで書くか」という判示がいくつかありました。あまりにもJASRAC寄りの判決に暗澹たる気持ちになりました。マスコミの取材を数社から受けましたが、多くの質問は「なぜJASRACは音楽教室にまで権利行使をするのでしょうか」というものでした。私もそこが疑問です。そもそも権利行使するか・しないかは権利者の自由です。音楽家を育てるという大事な役割を担ってきた音楽教室から著作権使用料を徴収する行為はまったく理解できません。著作権法の目的は「文化の発展に寄与する」ことです。JASRACの行為は文化の発展を阻害するものであり、著作権法の目的に反しています。NexToneは演奏権の分野に進出するようですが、「われわれは音楽教室からは徴収しない」といえば、多くの権利者と使用者から支持を得るはずです。NexToneにはぜひ同じ轍を踏まないでもらいたいものです。