今月のエッセイ(2019/12)
Author: セプティマ・レイ
12月です。教師も走り回る師走です。しかし、昔と違って、今の教師は年中走り回っていますので、あまり適切な言葉ではないかもしれません。まあ、師走の「師」は誰を意味するかについては諸説あるようなので、断言はできませんが・・・。ちなみにセメスター制の大学は1月下旬が定期試験期間ですし、センター入試や一般入試の試験監督があるので、実は1月が繁忙期です。
私が高校生の頃は、国立大学は1校だけ、私立大学も1学部につきチャンスは1回だけでした。しかし、今では試験方法が多様化されたため、受験生には複数の受験機会が与えられます。その分、監督する教員の負担も増えることになります。さらに1月と2月は風邪が流行る季節なので、受験生も大変です。鼻水をすすりながら答案を書く受験生を見ると、「受験シーズンを変えるべきなのでは?」と心底思います。
11月12日に渋谷公会堂の山下達郎さんのコンサートに行ってきました。7月12日に予定されていたコンサートが風邪のために順延になり、その振替公演です。9月6日のNHKホールのコンサートにも行っているので、今回のツアーは2回目になります。新築の渋谷公会堂はとてもきれいで木の香りがしました。達郎さんは東京ではNHKホールと中野サンプラザでしかコンサートをやらないので、なかなかレアな体験でした。
コンサートは平日なのに18時ジャストに開演しました。しかし、さすが達郎ファン。ほとんどの客は18時には席に着いていました。コンサートはいつもの通り、素晴らしいものでしたが、達郎さんはMCで渋谷公会堂を管理する渋谷区の役人から9時には絶対終わらせることをしつこく要求されたと怒っていました。確かに中野区が運営する中野サンプラザではコンサートが10時に終わることもしばしばです。今時、コンサートを9時に終わらせるなんて時代錯誤も甚だしいです。
この日、結局、達郎さんは「ロックンロールとは反抗である」と言って、9時15分まで演奏しました。この言葉には痺れました。慣れ合いというぬるま湯にすっかり浸っている平和ボケの人々に対する覚醒の言葉です。私にとってこの言葉は「正義を貫け」と聞こえました。ということで、今後も自分なりの正義を貫こうと思いますが、問題は正義を貫く手段です。声高に自分の正義を主張しても、相手の利益と衝突すれば、無視されたり、潰されます。相手を納得させるためには、説得力のあるデータや事実で自分の主張を補強する必要があります。人間は入念に準備されたデータを見ると、説得されやすい生き物です。
ところで、いかにして正義を貫くかとはニュアンスが違うかもしれませんが、「女神の見えざる手」という映画は、戦略的に自分の要求を実現することの重要性を認識させられる傑作です。機会があったらぜひ見てください。