今月のエッセイ(2015/08)
Author: セプティマ・レイ
今から4年くらい前にサイマル・アカデミーの尊敬するビジネス通訳科の先生に「私はほとんど英語を話す機会がありません。どうすれば、日英が上達しますか」と尋ねたところ、毎日英字新聞を読むように勧められました。先生は長年にわたって毎日欠かさず「Herald Tribune」を読んでいるので、それを購読するようにアドバイスされました。その日以来、一日も欠かさず、英字新聞を読んでいます(今は「The Japan Times」ですが・・・)。先生に「分からない単語が出てきたら、絶対に辞書を引くように」と言われたので、それを実行しています。
最初は辞書を引き引きですから、1面を読むだけで30分以上かかりました。しかし、1年、2年と経つうちに、「あっ、これ、前に調べた単語だ」という感じで、だんだん読むスピードが速くなっていきました。今では1~3面を1時間くらいで読めるようになりました(それでも遅いですが・・・)。今はビジネス欄と社説も併せて読むようにしています。というのも、サイマルの通訳科の先生から「安藤さんは難しい構文がでてくると、意味が分からなくなる傾向があるので、難しい文章をもっと読んだ方がいいですよ」と言われたからです。
英語の論文を読むのが仕事の身としてはちょっとショックなアドバイスではありましたが、これも自分の英語力が不足していることが原因です。その日からは社説も読むようにしています。確かに社説は難しい言い回しが少なくないので、とても勉強になります。ビジネス欄は、経済用語や経理用語を身に付けたいので読んでいるのですが、思わぬ面白い記事に出会うことがあります。バーガーキングやWendy'sがいかに立地条件のいい場所の確保に苦戦しているか、そのためにWendy'sはFirst Kitchenと提携しているという記事は本当に面白かったです。
考えてみると、英語というのは手段であって、目的ではないはずです。千野栄一先生の名著『外国語上達法』(岩波新書)にも、語学の上達の鍵は、何を目的に語学を勉強するのかを明確にすることだと書かれています。確かに英語を勉強していると、「全然上達しないな~。もうやめようかな」なんて思うことがあります。そんな時、英字新聞が読める、BBCニュースが聞き取れる、ABCニュースが分かる・・・、そして世界が広がるんだ!と思うようにしています。映画を字幕なしで分かるようになるのは、まだまだ時間がかかりそうですが、それができるようになった時には、「おまえもついにここまで来たな」と自分を褒めてあげたいと思います。
学問に王道なしです。学生にも自分の七転八倒ぶりを見せながら、勉強の面白さを伝えることができればいいなと思う今日この頃なのです。