今月のエッセイ(2013/07)
Author: セプティマ・レイ
以前にもこのコーナーで書きましたが、今月で50歳になります。20歳、30歳、40歳の節目に比べると、この50歳には違った重みがあります。それは残りの人生でどれだけのことができるか、という焦りのような感情です。もちろん、これまで漫然と過ごしてきたわけではなく、どちらかというと目標を持って過ごしてきましたが、それでも50歳という歳は焦りをもたらします。
今のところ、55歳までの目標は決まっていて、日々精進していますが、55歳からの目標は定まっていません。それはこの先の5年で決めようと思っています。ドイツ語やフランス語といった語学の習得にするかも知れませんし、調理師免許を取って日本料理をマスターするという目標にするかも知れません。考えるだけでもわくわくしてきます。
アメリカのニュースである有名企業が紹介されていましたが、その会社ではある課題を解決するため(具体的には発明をするため)にさまざまな分野のエクスパートを集めて、ブレイン・ストーミングをするそうです。エンジニア、ジャーナリスト、医者、弁護士といった専門家が集まると、予想できなかったような素晴らしいアイデアが生まれるそうです。
確かに一人の人間の知識や経験には限界があります。いかに優秀な知能の持ち主といえども、同時にいくつもの分野の知識や技術をマスターすることはできません。そういう意味では、この会社の方法は理に適っています。
それでも、できるだけさまざまな知識や技能を身につけたいと思うのが人間の性です。あれもこれもと欲張りになりすぎて、中途半端に終わるのはよくありませんが、それでも漫然と人生を過ごすよりは100倍いいと思います。また、ほかの分野の知識や経験は自分を助けてくれます。私はこれまで音楽、法律、英語の習得に相当な時間と費用、労力をかけてきましたが、それに余りあるくらい、これらの知識は私を助けてくれました。
また、人間は歳をとると、どうしても見栄や意地を張ってしまいがちになります。負けを認めるのにも勇気が要ります。でも、さまざまな分野の知識があると、衝突を回避する知恵が生まれてきます。一人の人間の知識や経験には限界がありますが、それでもできるだけ懐を深くするために精進したいと思う今日この頃なのです。