セプティマ・レイ(SEPTIMA LEY)

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今月のエッセイ(2019/08)

Author: セプティマ・レイ

 8月です。今年は梅雨明けが遅く、そのために例年よりもかなり涼しい夏になりました。春学期もようやく終わり、あとは期末試験を残すのみです。私が大学生の頃は、期末試験のために2週間くらい準備期間がありましたが、今は最後の授業の翌週に期末試験が実施されます。これではあまりにも学生が可哀そうです。特に1年生と2年生は必修科目が多く、どれも手を抜けないので、負担が重いようです。これを克服するためには、毎回しっかりと授業に出席して、予習・復習をするしか方法はありませんが、残念ながら今も昔も出席を取らない授業の参加率はとても低いです。

 データによると、新聞の購読者数は1997年をピークに急激に減っているそうです。レコード売上げとまったく同じ現象が起きています。私の両親は新聞が大好きで、毎日隅から隅までかなりの時間をかけて読んでいました。それを見て育ったので、私も新聞が大好きになりました。新聞はコストパフォーマンスが高いメディアです。あれだけの貴重な情報を安い購読料で入手できます。しかし、私の周りにはネットやテレビだけで足りるという人ばかりです。学生には図書館に行って、新聞の見出しだけでも読むように指導していますが、なかなか実践する人がいません。嘆かわしい限りです。

 吉本興業の闇営業の話題でマスコミはもちきりです。吉本興業はタレントと契約書を交わさない現状を「紙なんて水臭い」と言って、あまり問題視していないようです。しかし、吉本興業は契約書が紛争を予防する機能があることを忘れていると思います。世の中には「言った・言わない」で紛争になることが少なくありません。世間のいざこざの多くは、誤解から生まれます。今回の闇営業問題も契約書のないことが紛争をこじらせた一因ではないでしょうか。契約書を交わすのは水臭いというのは言い訳に過ぎません。

 契約書はかなり細かいことまで規定しなければならないというのは誤解です。1行でも2行でもいいのです。「事務所はタレントのマネージメントをし、タレントに出演料の50%を支払います」と書くだけでも立派な契約書です。まずはお互いが合意したことを書けばいいのです。あらゆる事態を想定して作成するアメリカ型の契約書は、日本では向いていません。アメリカの弁護士が送ってくる40頁以上ある契約書を読むたびに、「こんなことは絶対に起こらない」とばかばかしくなります。まずは短い契約書を作ることから始めればいいのです。契約書という名前が仰々しいというなら、覚書でいいのです。

 一から作成するのが大変なら、フォーマットを利用すればよいでしょう。このホームページには契約書のひな型が豊富に用意されています。すべて自由かつ無償でご利用いただけます。レコード会社の法務部が送ってくる契約書は、著しく自社に有利に書かれています。そういう場合は、ぜひこのホームページにある契約書を送ってください。客観的に見て、とてもフェアな内容になっていますので、交渉もスムーズに進むはずです。私の契約書フォーマットが普及することによって、音楽業界が少しでも改善することを心から願っています。


This entry was posted on 8月 5th, 2019

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