今月のエッセイ(2017/08)
Author: セプティマ・レイ
8月です。夏ですね。今年の夏は過ごしやすいです。日中はクーラーをつけることもありますが、夜はかなり涼しいです。さて、今年の8月は2年ぶりに北大のサマーセミナーに参加して、知的財産法の勉強をしてきます。2月に札幌に仕事で行ったばかりですが、夏の札幌は久しぶりなので、とても楽しみです。北大時代の同僚たちとも旧交を温めてきます。たった2年半しか住んでいませんでしたが、札幌に行くと落ち着きます。やっぱり住みやすさはナンバーワンです。
今年の夏休みはずっと「よくわかる音楽著作権ビジネス」の改訂作業をしています。現在の版は2011年3月に発売されたものですから、すでに6年以上が経過しています。これまでは3年毎に改訂していたので、だいぶ期間が空いてしまいました。その間、NexToneが誕生したり、サブスクリプションサービスが普及したりと、音楽業界も大きく様変わりしました。基礎編・実践編の約800頁を最新情報にアップデートするので、かなりの時間と労力がかかります。
それに加えて、今回は基礎編に5話、実践編に5話、書き下ろしを追加します。1話書き下ろすのに1日かかりますので、10話で10日もかかってしまいます。このように改訂にはまとまった時間が必要なので、夏休みを使うしかないわけです。幸い、今年の夏休みには改訂作業以外、大きな仕事を入れていないので、かなり執筆作業に専念できます。それに8月はみなさん、夏休みを取るので、コンサルの仕事もパラパラ来る感じです。秋学期の授業の準備も当分しなくていいので、執筆には最適な時期なのです。
「よくわかる音楽著作権ビジネス」は初版が1995年4月ですから、発行から実に22年が経過したことになります。当初は、この本がロングセラーになるとは思っていませんでした。初版はほとんど自力で執筆しましたが、現在では音楽業界にいる友人・知人から貴重なデータや情報をもらって書いています。彼らの助けがなければ、音楽業界の情報が詰まった800頁の本を書くことは不可能です。類書との違いを挙げるなら、「情報量の豊富さ・正確さ」だと思います。本当に多くの人にチェックしてもらっています。
改訂作業をしていて感じるのは、音楽著作権ビジネスがとても複雑になったことです。22年前に出版した時よりも遥かに分かりにくくなりました。当時はJASRACしか音楽著作権管理事業ができなかったし、音楽配信も存在していませんでした。なので、初版は30話でおしまい。それで基本的な知識は充分だったわけです。それが来年2月に出版する5版では基礎編と実践編で80話・800頁を超える予定です。分かりにくく、複雑な音楽著作権ビジネスを若手のミュージシャンが「ふんふん」と頷きながら読める本を目指して、これからも頑張りたいと思う今日この頃なのです。