今月のエッセイ(2012/11)
Author: セプティマ・レイ
都知事の職を投げ出して国政に打って出ることを表明した石原慎太郎氏を「暴走老人」と呼んだ人がいます。いい得て妙と思いましたが、「暴走老人」をウィキペディアで調べると、藤原智美が著したノンフィクション書籍のことをいうそうです。この本のことを知らなかった自分の不明を恥じるばかりですが、80歳の齢になって自分の夢を追う彼の行動を称賛する声が一部にあるのも事実です。
確かに高齢社会になって、生涯現役とばかり社会で活躍する高齢者が増えてきました。私が子供の頃は60歳で定年する人が多かったし、60歳というと「おじいちゃん」という感じの容貌の方が大多数だった気がします。しかしながら、今や60歳といってもまだまだ若い。肌もつやつやして、40代といっても通る人もたくさんいます。
こうなると老後に何をやるか、あるいは何を為すかが大きな人生問題、いやテーマになってきます。ここでお勧めしたいのが「習い事」です。昔習いたかったけれども、家庭や経済的な事情で習えなかったことを今こそ習うのです。誰からも文句言われずに自分のお金で習い事をする快感は、経験した者しかわからないものです。
私は習い事フェチなので、これまでさまざまな習い事をしてきました。習字、水泳、珠算、ピアノといった定番のものからプログラミング(COBOL)、ジャズピアノ、通訳英語といった特殊なものまで経験してきました。そのような経験で気づいたのは、習い事を続けるにもコツがあるということです。
まず絶対に休まないこと。1回休むと、他の生徒に追い付くのに苦労します。また休み癖がつく可能性もあります。皆勤を目指すのが習い事を続ける一番のコツです。次に、自分のレベルに合ったクラスに入ること。自分の実力より少しだけ上のことを教えてくれるクラスがお勧めです。あまり高いレベルに入ると、ついていくのがしんどいし、何よりも好きな習い事が嫌いなるおそれがあります。
三番目のコツは、クラスで友人をつくること。互いに励ましたり、宿題を教えあったりすると、習い事もより楽しくなります。また、同じ趣味を持つ人ですから、生涯の友人になる可能性は高いです。最後のコツは、少なくとも3年かけて習うくらいの気持ちで習うこと。石の上にも3年です。3年くらい習うと、その習い事の奥深さが分かってきます。
私も来年で50歳。これからも好きな習い事を続けて70歳になる頃には「暴走老人」ではなく、「疾走老人」になっていればいいなと思います。